【前回までのあらすじ】
鈴木商店は、第一次大戦による欧州の船腹不足、食糧や生活雑貨、薬品などの欠乏を奇貨として大商いを連発した。三井物産を凌ぐ大商社となり、年商は国家予算を超えた。
(イラスト:茂本ヒデキチ)
金子直吉は、若きエースと恃むロンドン支店長、高畑誠一に「この戦乱の変遷を利用し、大儲けをなし、三井三菱を圧倒するか、しからざるも彼らとならんで天下を三分するか。これ鈴木商店全員の理想とするところなり」と「天下三分の書」を送った。
だが……、長い塹壕が掘られ、硬直していた欧州戦線は、アメリカの対独宣戦布告で動きだした。ヨーロッパの紛争に距離を置くモンロー主義を貫いてきた米国も、ドイツの無制限潜水艦攻撃で自国民の命が奪われ、ついに戦争に加わった。
